コップを持つときは、指を曲げるだけでは足りません。ふれる場所が悪いと、コップがすべってしまいます。ジーシュエン・シューさんたちの研究チームは、物のどこに指がふれたかに注目しました。指先の近くにある小さなカメラの映像などを使い、人の手の動きをロボットに教える方法を考えました。

人の手とロボットの手は、指の長さも曲がり方もちがいます。だから、人の指の角度だけをそのまままねしても、同じ物を持てるとはかぎりません。研究者は、まず人の指が物にふれた場所を記録しました。次に、ロボット自身の指と手首をどう動かせば、似た場所にふれられるかを計算しました。

六つの手と作業の組み合わせで、ほかの方法と比べました。研究チームによると、作業の最後の段階での平均の成功率は、少なくとも50ポイント高くなりました。たとえば20%から70%になると、50ポイントの増加です。ここでの数字は、研究で決めた作業の結果であり、どんな物でも持てるという意味ではありません。

この方法は、人の実演を記録する部分とロボットが学ぶ部分を分けています。前者では共通の接触形状と指先のカラー画像を使い、手の姿勢を移す前に接触面[1]を合わせます。後者では接触面の相対的な軌道を上位で予測し、下位の制御部分が手首と指を動かします。ソフトウェアと機器の設計情報も公開されています。人の指の角度をそのまま再現するのではなく、物との接触関係を保存する考え方です。

まだ、いろいろな形の道具や、ぬれた物を持つ場合まで確かめたわけではありません。それでも、指がどこにふれるかを考えることは、見た目が同じ動きでも成功が変わる理由を知る手がかりになります。

導入時にはロボットの手の形だけでなく、指先のカメラ、位置合わせ、製品の表面を調べる必要があります。接触面とは、指が実際に物を支えている部分です。その位置が少し変わると、持ち上げた物がすべる可能性があります。公開された機器の設計図とコードは試験導入の助けになりますが、実際の生産ラインとの接続や保守の費用は別に発生します。

50ポイント以上という数字は、六つの手と作業で測った最終段階の平均成功率です。作業全体や異なる材質でも同じ効果が出るとは限りません。初期の接近動作、指先カメラの校正、接触のずれは別々に調べる必要があります。

50ポイントという改善は、選んだ作業の最後の段階で測った数字です。ラインの稼働時間、指の摩耗、作業全体の速さ、製品を落としたときの損失まで示したものではありません。