人が多い通路で、一人の人についていくロボットを考えてみましょう。似た服の人が前を通ったら、だれを追えばよいか分からなくなるかもしれません。ミンヤン・リューさんたちの研究チームは、人を見失わないようにする学習と、安全な動きがいつも同じ方向に進むのかを調べました。

人を追い続けるように学習すると、追いかける作業は上手になりました。しかし、一部の試験では、ぶつかる回数も増えてしまいました。そこで研究者は、動く直前に危険を調べるしくみを加えました。目当ての人がどこにいるか、ほかの人とまちがえていないかなど、いくつもの手がかりを調べます。

危険が大きいと判断したときだけ、次に前へ進む長さを短くします。向きを変える命令はそのままです。試験では、98%をこえる動きが元のままでした。それでも、まぎらわしい人がいる試験で、ぶつかる割合は3.96ポイント下がりました。いつでもゆっくり動かすだけでは、同じ改善は出ませんでした。

研究チームは、画像と言葉から動作を作る小型モデルの計画部分だけを追加学習し、基礎部分を固定しました。別の危険評価器には、目標候補、人物の見分けやすさ、距離と方向の推定、予定する命令など84種類の手がかりを入れます。危険がしきい値をこえると、次の目標位置までの前進距離だけを短くし、回転は変えません。常に減速させるのではなく、危険が高い瞬間に限って介入する設計です。

これは、どんな駅や店でも安全に人を追えると証明したわけではありません。研究で決めた場面と条件での結果です。だれかを見つけるのが上手になることと、ぶつからずに動くことは、別々に確かめる必要があります。

施設で使う場合、この危険確認は人を追う機能とは別に評価する必要があります。ロボットが人を見まちがえていないかを調べ、危険が高いときだけ前進距離を短くします。普段の動きをほとんど変えない点は利点ですが、速度制限、非常停止、建物ごとの試験を省けるわけではありません。研究論文は産業安全規格への適合を独立に証明していません。

同時に行った再試験でも衝突率は3.77ポイント下がり、対照の差は0.29ポイントでした。ただし、あらゆる環境で衝突しないという保証ではありません。目標人物の状態を考えずに一律に遅くするだけでは同じ効果が出なかった点が、単純な速度制限との違いです。

常にゆっくり動かす方法では同じ効果が出ず、再試験でも3.77ポイントの衝突率低下が見られました。ただし、来訪者に対する危険がゼロになるという数字ではありません。