ロボットが物の位置を正しく見つけても、手を近づけるときに少しずれることがある。硬い指では滑ってしまう場面でも、柔らかい指なら物の形に合わせて変形できるかもしれない。Kurt Enkeraらは、そうした失敗への強さを設計段階から考えるSimTO-Robustという方法を発表した。

一つの物を理想的な位置でつかむ条件だけを使うのではなく、複数の形の物と異なるつかみ方をコンピューター内で試す。接触した場所に働く力をまとめて調べ、柔らかいハンドの形を改良する。制御プログラムだけでなく、部品の形そのものに失敗しにくさを持たせようとする。

研究者は6646種類の候補を計算で作り、そのうち24種類を実際に製作した。比較相手には、特定の物に合わせた柔らかいハンド10種類、硬いハンド2種類、一般的な設計法による柔らかいハンド1種類を使った。合計37種類を、形に特徴のある五つの物、六つのつかむ位置、外から加える力を変えた条件で試した。

平均すると、新方式のハンドは専用設計のものや硬い比較用ハンドより安定して物を移動できた。最も良い候補は、ほかの装置より大きな外乱にも耐えた。ただし、これは論文で選んだ物と条件での結果であり、どんな材質でもどんな重さでも必ず優れていると証明したわけではない。

この研究が示すのは、ロボットの賢さは計算機の中だけにあるわけではないということだ。部品の形や柔らかさを工夫すれば、多少の位置ずれを機械的に吸収できる。実用化には、繰り返し使ったときの摩耗、汚れ、動作速度、より重い物や未知の形への対応を確かめる必要がある。

再現性を確かめるには、論文で実際に測った結果と、別の環境で期待される利点を分けて考える必要がある。次の技術的な検証では、設定値、試験場面の選び方、失敗の記録方法を変えたときの結果を調べることが重要だ。

特に重要なのは、研究で選ばれた比較対象と評価指標が何を意味するかを明示することだ。実機の試験と計算上の試験を分け、対象物や初期位置が変わった場合にも同じ結果になるかを調べなければ、一般的な性能向上とは言えない。