通信ケーブルの小さな先を差しこみ口に入れるとき、向きが少しずれるだけで入りません。ロボットの五本指の手にも、これはむずかしい作業です。アマー・アッバスさんたちの研究チームは、手を動かすプログラムを比べました。実物のロボットを使い、およそ1700回の試験をしました。画面の中だけの実験ではありません。
研究者は七つの種類に分けた281通りのプログラムを調べました。カメラの情報をどう使うか、指の動きをどんな数字で表すかを変えました。同じ作業でも、情報のまとめ方によって結果が変わります。たとえば、物の位置を手から見た数字で表すのか、別の場所を基準にするのかで、プログラムの使いやすさがちがいます。
実際に差しこむ前に計算できる67種類の点数も調べました。そのうち、動きのなめらかさやまっすぐさに関係する五つだけが、実物での成功と強く結びつきました。それも一つの種類のプログラムの中だけでした。コンピューターでよい点が出ても、実際の指が正しい場所に入るとはかぎらないのです。
点群[1]を使う方式では、必要な領域だけを切り出すこと、ロボットの土台を基準に座標を表すこと、特徴量を正規化することが、それぞれ特定の比較で70から100ポイントの成功率改善につながりました。画像と指示から動作を出す方式では、相対移動より絶対位置を予測することで最大70ポイント改善しました。これらは条件の異なる試験結果なので、数値を足し合わせたり全方式へ一般化したりできません。七種類の制御方針を比べた点も重要です。
この研究で試したのは、決まった手と小さな差しこみ部品です。どんな物でも同じ方法が一番よいと決まったわけではありません。研究者は、画面での評価だけにたよらず、実物を使った試験が必要だと考えています。
実機を動かさずに計算できる67種類の指標のうち、成功と安定して相関したのは五つだけで、しかも一つの方式の中に限られました。予測した動きのなめらかさや直線性が有用でも、異なるモデルを同じ点数で選べるとは限りません。検証用データの損失だけで実機性能を決めるのは危険です。


